こんにちは、雑記ラビリンスです。「ウマ娘シンデレラグレイ」の1巻に引き続き2艦を読んだ感想です。
「ウマ娘シンデレラグレイ」2巻のあらすじ
いよいよ始まるジュニアクラン。ライバルであるフジサワマーチへの勝利に燃えるオグリキャップ。ラスト100メートルの攻防の軍配はどちらに・・・
そしてオグリキャップの才能は中京盃で最強の七冠ウマ娘シンボリルドルフの目に留まる。
オグリキャップの伝説の序章であるカサマツ編クライマックス!!
登場人物
オグリキャップ
本作の主人公。天然でマイペースの健啖家。
ベルノライト
オグリキャップのチームメイト。実家がウマ娘専用のスポーツ用品店を経営してるため用具への造詣が深く、用具の面からオグリをサポートしている
北原穣
オグリキャップのトレーナー。オグリと東海ダービー制覇を夢見ている
六平銀次郎
北原の叔父で中央でトレーナーをしている。
フジサワマーチ
オグリキャップのライバル。オグリを非常にライバル視をしている。東海ダービー制覇を目標にしている。
シンボリルドルフ
ノルンエース
三バカトリオの一人でオグリのルームメイト。実家がダンス教室をしている。はじめは嫌がらせをしていたが、オグリの実力を認めるとオグリにダンスを教えるようになる。今ではすっかりオグリのファン。
ミニーザレディ
三バカトリオの一人で頭の回転が速い。悪戯好きで誰もが引くような悪戯を良く思いつく。
ルディレモーノ
三バカトリオの一人で見た目の柄は一番悪い。意外に常識的なせいか出番が少ない。
見どころ
オグリキャップ、フジサワマーチとの再戦
カサマツのライバル、フジサワマーチとの2度目のレースになるジュニアクラウン。絶対に負けられない2人の戦いが火ぶたを切って落とされます。
オグリに勝つためのシミュレーションを何度もしているマーチはスパートのタイミングをうかがいます。オグリの方も調子がいつもより良くて早めにスパートをかけようと考えていました。
そして・・・二人同時にスパートをかけます。
両者のスピードは全くの互角。オグリキャップはフジサワマーチとの差を詰めることができません。走ることに集中して小さいころから誰よりも努力してきたマーチ。そしてライバルと目標を持ったオグリ。
この二人の意地のぶつかり合いはゴール直前までもつれ込みます。この拮抗状態、だれもがマーチの勝利を予測していました。しかし・・
驚異の二度目のスパート
その均衡を打ち破ったのがオグリの勝利への執念でした。何と2度目のスパートをかけてマーチを突き放して先にゴール版を駆け抜けます。
いやあ、この絶対に負けたくないというオグリの勝利への執着は迫力満点ですね。少し前を走っているマーチが振り向くぐらいですから相当の殺気だったんでしょうね。
オグリは自分が勝てたのはマーチのおかげだといいます。マーチというライバルと目標ができて自分が強くなったと感謝しています。
オグリは「一緒に東海ダービーを走ろう」それに対してマーチは「次は負けん」といって握手をしてレースは終了します。
ライバルがいて自分が強くなる。王道で熱い展開ですね。
次のレースは中京盃
ジュニアクラウンに勝ったオグリはウマ娘恒例のウィニングライブを行います。初勝利の時は盆踊りと散々でしたがちょっと上達したようです。何よりオグリに嫌がらせをしていたノルンが観客席でダンスのポーズを教えたり、ミニーがフリップで「もっと笑顔で」とカンペを見せたりと、周囲の関係も良好になっているようです。
中央でトレーナーをやっている六平から「あいつ、次のレースは?」と聞かれた北原は中京盃を考えてると答えます。中京レース場は地方で珍しく芝のコースで今後のオグリのためにも慣れさせてあげたいとのことです。
ところが六平は「東海ダービーが目標なら中京盃はやめとけ」と言い残して帰ります。正直理由を言えよと思いました。ただ「レースに出るな」だけでは何も伝わらないですし、北原もオグリを中京盃に出すことを決めます。
北原の方も理由を聞けよとは思いましたが・・
皇帝シンボリルドルフからのスカウト
中京盃のレース、思わぬ超大物が観戦に来ていました。シンボリルドルフとマルゼンスキーです。六平が懸念していたのはオグリがシンボリルドルフの目に留まるとことでした。
六平は前回のジュニアクラウンで気づいたんです。オグリは地方のレベルのウマ娘じゃない。国内最高水準のウマ娘だということに。六平は中央でトレーナーをやっているのでシンボリルドルフが観戦に来ることは知っていたのでしょうね。
この中京盃で初めての芝にもかかわらずオグリは圧勝します。北原とベルノははしゃいでいましたが六平の懸念は当たってしまいます。
オグリは地方のレベルではありません。彼女のレースを目にしたら答えはただ一つ。中央へのスカウトです。謎の人物から同行をお願いされた北原はまさかのシンボリルドルフと対面します。「オグリが何か粗相でも」と思いましたが答えは逆でした。
シンボリルドルフの口から出た言葉は「中央にスカウトしたい」。
北原の葛藤
シンボリルドルフからオグリキャップのスカウトをされた北原は正直悩みます。彼の夢は東海ダービー制覇。オグリが中央に行ってしまえばその夢は絶たれてしまいます。オグリを中央に行かせるか、カサマツに残すのか北原はベルノに相談しますが彼女から「大事なことを忘れています。それはオグリちゃんの気持ちです」と喝を入れられます。
北原はオグリに「中央に行くか?」と聞きますが「北原は来るのか」と聞き返されます。北原は中央のライセンスを持っていないので行けないというと「なら私も行かない、東海ダービー制覇は私たちの夢だろう」と言って中央行きを拒否します。
東海ダービー制覇を目標にしていた北原が中央のライセンスを持っていないのは当然かもしれませんね。はじめっから中央に行く気はなかったのですから、オグリと出会う前は。
オグリは北原から走り方の基本、ペース配分、スパートの砂の蹴り方、全てを教わりました。だからこそ彼女は北原の夢である東海ダービーを叶えてあげたいのです。
だから私はアイツの夢をかなえてやりたい
オグリの並々ならぬ北原への思い。それをずっと聞いているベルノ。めちゃくちゃいいシーンです。でもそんな気持ちを知らない北原は残酷な選択をオグリに課します。
「勝ったら中央、負けたら東海ダービーを目指せ」
元ネタの史実でも「中央の芝が向いていなければ鷲見厩舎に戻す」という条件付きでオグリキャップは中央に移籍しているので、それをベースにしての発言だと思います。史実のオグリキャップは中央に行く際にも色々とごたごたがあったことを表現しているのだと思います。
とはいえ、こんなことを言われたオグリは唇をぎゅっとかみしめ「なんだよそれ」とつぶやきます。シンボリルドルフからも「それが本心ならあなたはトレーナーとして相応しくない」と言われます。
オグリの葛藤
自分が走ることでお母さんが喜んでくれた、北原が喜んでくれた。ついこの間までは。自分が走ることで誰かが悲しむのは見たくない、どんな気持ちで走っていいのか分からない。そんなオグリをマーチが張り倒します。東海ダービーはどうした、わたしとの約束はどうなる、バカにするなと
マーチはオグリに思いをぶつけます。オグリは「だったら私に勝て」と言い放ちます。マーチが勝てばオグリの中央行きはなくなりますから。マーチは「貴様を中央にはいかせない」と言いレースが始まります。
レース開始
レースが始まりすがオグリの目からは光が消えて虚ろな様子です。心ここにあらずの状態でレースを進めます。一見冷静に走っているようには気勢が欠けている様子です。
良いレースをしたい!オグリはそれだけなのにオグリの足は鎖ががんじがらめになったかのように前に進みません。北原の夢は叶えてあげたいけど勝負には負けたくない。心の葛藤がひしひしと伝わってきます。
レースを直視することができない北原。オグリがこうなっているのはあなたのせいなんですけどね。六平が北原の頭を無理やり持ち上げて北原にレースを見せます。ずっと下を向いていた北原はオグリの顔を見てようやく自分が間違っていたことに気がつきます。
「俺はトレーナー失格だ」「なにやってんだよ」
北原は一目散に駆け出し、オグリに大声で声をかけます。そして一言
「走るんだァアアア!!!」
オグリの目に光がよみがえります。吹っ切れたオグリの横顔は本当に楽しそうな顔で走り抜けていきます。水を得た魚の様に。こうなったオグリに敵はいません。マーチとの差はぐんぐん開いていく一方。マーチは悟ります。オグリにはどう抗っても敵う相手ではないと、絶望します。残り100メートル。先頭を走るオグリは振り向き
「私・・・勝っちゃうよ」
このセリフ泣けますね。オグリが勝つ、すなわち北原の夢が終わってしまいます。ただ北原が
「勝てばいいんだよ。お前は天下を取るウマ娘なんだから」
と笑顔で答えます。レースはオグリキャップの一着で終わります。
その陰で、マーチは柴崎トレーナーの前で初めて涙を流します。負けたのは残念ですがこの二人が初めてコミュニケーションが取れたシーンだと思いました。
そしてついに中央へ
高齢のウィニングライブの後、オグリは観客の前で中央へ移籍する高らかに宣言します。聞いたノルンがぶわっと涙を流します。
「ノルンが泣いた」「涙などとうに枯れたものだと」ミニーとルディが突っ込みます。ノルンは完全にオグリのファンですね。最初はマーチ推しだったのに、完全にオグリのガチ勢です。
そして北原にも新しい目標ができます。それは
中央のトレーナーライセンスを取ること
そしてオグリに見合うトレーナーなることとオグリに誓います。ベルノはちゃっかりトレセン中央学園のスタッフ研修生の編入試験に合格していたので中央に行っても一緒です。
「中央でも暴れてこい、オグリ」
マーチとオグリ、拳をあわせます。レースを通してこの二人は本当の友達になったんですね。
第2巻はここで終了です。オグリとベルノはいよいよ中央に編入します。北原のいない間、オグリのトレーナーは誰がやるのか、オグリの前に立ちはだかるのはどんなウマ娘なのか。今後が気になります。